2型糖尿病は、父や母から受け継いだ糖尿病遺伝素因を有する方に、過食や運動不足など生活習慣の乱れや、肥満、加齢(老化)など、環境因子が加わることで発症します。しかしながら、それらの遺伝素因と環境因子が揃っても瞬時に糖尿病が発症する訳ではありません。 また、食後高血糖はブドウ糖毒性を介して糖尿病の発症・進展に重要な役割を演じるのみならず、近年、それ自体が酸化ストレスを誘導することで動脈硬化性疾患の発症に深く寄与することが示されています(図2)。 糖尿病は今や国民病ともいわれ、糖尿病患者さんと糖尿病の可能性が否定できない方(予備軍)を合わせると、日本全国で約2210万人*1に及ぶといわれています。 そのうち、医療機関で治療を受けている患者さんは237万人*2ほどしかおらず、いかに糖尿病に気がつかない人、指摘されても放置している人が多いかがわかります。 糖尿病専門医の数は現在3,476人で、糖尿病患者さんの数(2,210万人)に比べて圧倒的に不足しており、身近に専門医がいないことが、受診をためらう原因の一つとなっているとも考えられます(図3、図4)。 *1:厚生労働省 国民健康・栄養調査(2007年)より *2:厚生労働省 患者調査(2009年)より
糖尿病の症状は気付きにくく、多少血糖値が高いくらいでは全く症状のない人がほとんどです。 最近では、無症状の状態でうけた健診で指摘されることも多くなっています。しかし、糖尿病を「症状がないから大丈夫」と放置するのは非常に危険です。高血糖の状態が続くと、確実に糖尿病は進行し、動脈硬化等の合併症のリスクが高まります。 大切なことは、まずは定期的に健診を受けて早期発見に努めること、食事や運動など日々の生活習慣を見直すことです。そして、生活習慣の改善では不十分な場合は、お薬を使ってしっかり血糖値をコントロールします。自分の病態に応じた適切な治療薬を選択することが非常に重要で、最近は非常に有望な新薬も発売されています。 言われるままにただ薬を飲むのではなく、患者さん自身が病気についての正しい情報を知り、どのような選択肢や治療法があるのかということを、しっかりと理解して治療に望むことが大切です。 軽症の場合、ほとんど自覚症状はありません。 重症となり、顕著な高血糖状態になると、■喉が渇き水分を多く摂る、■尿の量や回数が多い、■疲れやすい、■体重が急に減る、■傷が化膿しやすくなる、■独特の口臭(ケトン臭)、■こむら返りがよく起こるようになる、などの症状が現れます。 |